派遣社員は、福利厚生を受けられないのではないかというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。実際のところ、派遣社員も福利厚生を受けられます。しかし、派遣社員が福利厚生を受けるには条件があります。この記事では、福利厚生の種類や条件、福利厚生を受ける注意点を紹介しますので、参考にしてみてください。
そもそも福利厚生とは?
福利厚生とは、給与や賞与などの基本的な労働対価に加え、従業員とその家族に提供する報酬のことを指します。
従業員が心置きなく働けるように用意されている雇用保険や労働保険などの法的福利と、従業員が働きやすい環境をつくるために用意されている交通費の支給や社宅などの法定外福利があります。派遣社員が受けられる福利厚生の種類を見ていきましょう。
社会保険
社会保険にはいくつか種類があり、どのような働き方をするのかによって加入する制度が異なります。派遣社員の場合は、条件を満たすと、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険に加入します。
労災保険
労災保険は、業務上のケガや病気、障害などが発生した場合、労働者の社会復帰を促進することが目的です。労災保険は加入条件がなく、すべての労働者に適用されます。労災保険はすべて会社が負担するため、従業員が負担することはありません。
有給休暇
労働基準法により、有給休暇の取得が義務付けられています。派遣社員であっても条件を満たすことで、有給休暇を取得できます。
健康診断
労働安全衛生法により、労働者に対し、雇い入れ時とその後は1年に1度の定期健康診断をおこなうことが義務付けられています。派遣社員についても同様に、健康診断をおこなう必要があります。
産休・育休
産休は、産前に6週間、産後は8週間取得できます。ただし、産後は医師の許可がおりた場合には6週間以降から働けます。社会保険に加入している場合は、出産育児一時金と出産手当金が支払われます。育休は、原則として子供が満1歳になるまで取得できます。育休中は、日数に応じて給与の50%が支給されます。
福利厚生を受けられる条件
派遣社員が福利厚生を受けるには条件があります。
社会保険の加入条件
社会保険に入る条件は、雇用期間と労働時間および日数によって決められます。雇用期間は2か月が基準となり、2か月以上働くならば社会保険に加入する必要があります。
また、1か月の所定労働日数の4分の3以上、および1週間の所定労働時間の4分の3以上を超えた場合にも加入対象です。年齢が条件となる制度もあり、介護保険は40歳以上、後期高齢者医療制度は75歳以上になると加入しなくてはいけません。
有給取得の条件
有給休暇は、基本的に同じ職場に6か月以上勤務していること、同じ派遣会社で就業し全労働日の8割以上勤務していることが条件です。これらの条件を満たすことで、1年ごとに有給休暇が付与されます。有給日数に関しては、勤続年数および勤務日数によって決まります。
産休・育休の取得条件
産休は、産前6週間の契約がある場合に取得できます。育休は、1年以上仕事をしており、育休終了後も引き続き就業することを希望している場合に取得できます。
子どもが満1歳を超えても育休を延長したい場合には規定があります。保育所に入所したいが入所できない場合、配偶者が養育する予定だったが死亡・負傷・疾病などで養育が困難になった場合に延長できるようになります。
派遣スタッフが福利厚生を受ける際の注意点は?
派遣社員も福利厚生を受けることが可能です。しかし、福利厚生を受ける際の注意点もあります。事前にしっかり理解しておくことで、スムーズに福利厚生を受けられるでしょう。
福利厚生を把握しておく
まず、派遣元の企業がどのような福利厚生制度を提供しているのか把握することが大切です。派遣元の企業が提供している福利厚生制度は、基本的にどの派遣先の企業に就業しても適用されます。
休暇制度に関しては、派遣先のルールを考慮する必要がありますが、派遣元の企業の福利厚生制度をしっかり把握しておくことでトラブルを防げます。
福利厚生は派遣会社によって異なる
福利厚生の内容は、派遣会社によって異なる部分もあります。福利厚生をホームページなどで確認できる派遣会社もあるので、登録する前に確認しておくと安心です。どこの派遣会社に登録するべきなのか悩んでいる場合には、福利厚生が充実している派遣会社を選ぶとよいかもしれません。
まとめ
派遣社員の福利厚生の種類や、加入でいる条件について紹介しました。社会保険などの福利厚生は、健康の維持や労働災害、老後資金を備えるためにも必要なものです。任意で利用できる法定外福利に関しても、活用でいる場面がたくさんあります。福利厚生で得られるメリットや、加入条件などを理解することで、派遣社員でも心置きなく働き続けられるでしょう。ただし、派遣会社によって福利厚生の内容が異なる場合がありますので、登録する前に内容や条件を理解しておくことが大切です。