派遣スタッフとして働く際に気になるのは、待遇面でしょう。有給休暇を取得する資格がないのでは?と不安に思う派遣スタッフも、少なくありません。取得できたとしても申し出にくかったり、厳しい条件があったりすれば、気軽に有給を申請できません。この記事では、派遣スタッフの有給取得条件や申請する際の注意点について詳しく解説します。
派遣スタッフの有給のルールや条件について
結論からいうと、派遣スタッフでも有給休暇を取得することは可能です。有給の正式名称は「年次有給休暇」といい、労働者に対して賃金が発生する休暇が与えられることです。
本来ならば労働するはずの日の労働が免除され、出勤しなくても賃金が発生します。 家にいても遊んでいてもその日は賃金が発生するため、申し訳ない気持ちになる人も一定数いるようですが、堂々と取得できる休暇です。
有給はすべての労働者の権利として法律で定められているため、雇用形態に限らず労働者が希望すれば雇用主はそれを拒否することはできません。
2019年の労働基準法の改定によって年間で10日以上の有給休暇が付与される者には、年間5日以上の有給休暇を使用者が自ら使用する時季を指定して取得させることが企業に義務づけられるようになりました。
労働者が有給休暇を取得することによって事業運営に支障をきたす場合のみ時季を変更する措置が取られるケースもありますが、基本的に申請を却下することはできないとされています。
6ヶ月以上勤続していることなどの付与条件を満たす労働者に対しては、最大で20日間の有給休暇が与えられる決まりになっています。週所定労働日数5日以上、または週所定労働時間30時間以上にあたる労働者は、勤続年数によって付与日数が異なるため注意が必要です。
派遣スタッフの有給取得条件や申請方法
有給休暇の取得は労働基準法によって定められた規則であり、与えられた権利ではありますが誰でも取得できるわけではありません。雇い入れの日から数えて6ヶ月間継続勤務していることや、6ヶ月の全労働日のうち8割以上出勤していることを満たしていれば、雇用形態に関わらず誰でも有給休暇を取得することができます。
そのため、派遣元企業に登録してすぐに有給休暇が付与されるわけではありません。派遣元企業に雇用されて6ヶ月が経過していない場合や、出勤日数が全体の8割を下回ってしまった場合には有給休暇の権利は発生しないため注意が必要です。逆に言えば、勤続年数(出勤日数)が多いほど有給休暇は多く付与される仕組みになっており、最大で20日付与されます。
申請の際には、必ず派遣元企業の担当者を通じて、有給休暇の申請方法などを確認しておく必要があります。すべての労働者に与えられた権利とはいえ、事前に相談や確認をすることなく申請してしまうとトラブルにつながりかねません。
忙しい時期に何も考えず勝手に有給を取得してしまうと非常識な人だと判断されかねないため、周囲との兼ね合いも考えて申請するのがおすすめです。基本的に派遣スタッフの有給休暇は派遣元企業から付与されるため、申請は派遣元企業へ行いましょう。
有給申請するときに注意点はある?
定められた条件を満たせば誰でも取得することができますが、実は有効期限があります。発生した日から、使うことなく2年が経過してしまうと消滅してしまうため注意が必要です。
期限を確認していなかったり、有給休暇を使わずに放置したままでいると無駄になってしまうので、期限内に積極的に消化することをおすすめします。また、派遣スタッフの場合はもうひとつ気をつけなければならないポイントがあります。
それは、派遣先との契約を終えて次の派遣先が決まるまでに、一定期間の時間が経過してしまった場合です。派遣元企業にもよりますが、なかなか次の派遣先が決まらずに期間が空いてしまうと、雇用契約がなくなったとして有給休暇が消えてしまうのです。
なかには、有給休暇が消滅せずに済むケースや消滅するまでの期間が異なる場合もあります。しかし、一度消えてしてしまうとまた次の派遣先企業に勤めた日からスタートになってしまうため、事前に派遣元企業に確認しておきましょう。
また、派遣から直接雇用に切り替える際にも注意が必要です。直接雇用となると派遣元企業をいったん退職して派遣先企業と新たに契約を結ぶことになるため派遣期間中の有給休暇は消滅してしまいます。
そして、有給休暇は引き継がれない場合がほとんどです。直接雇用を結ぶ際には、派遣元企業で付与された有給休暇を使い切ってから切り替えると良いでしょう。
まとめ
派遣スタッフをはじめ、有給休暇はすべての労働者に与えられた権利です。しかし、有給休暇の付与には一定の条件を満たす必要があります。決められた条件さえ満たしていれば雇用主から付与されるものなので複雑な手続きなどは必要ありません。基本的には労働者のタイミングで自由に使えるとされていますが、派遣先企業の他のスタッフとの兼ね合いや繁忙期はなるべく避けるなどの配慮は忘れないようにしましょう。また、有給休暇は使わずにそのままにしておくと、気づいたときには消滅してしまったなんてこともあります。せっかくの有給休暇ですから、付与された日数をしっかり確認して、計画的に消化することをおすすめします。